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前立腺肥大症
前立腺は精子に栄養を与える精液の一部になる前立腺液を分泌するところで、男性の生殖機能に関係しています。50歳以上になると、加齢に伴って前立腺が肥大するようになり、尿道や膀胱が圧迫されるため、尿が近い、出にくい、勢いが弱い、残尿感があるといった症状が出てきます。
検査は、尿検査、腹部超音波検査、尿流量測定検査(排尿の勢いをみる検査)、PSA(前立腺癌マーカー)の血液検査などを行います。
治療は、まずはα1受容体遮断薬、PDE5阻害剤、抗男性ホルモン薬といったくすりを使うことで、多くは改善に向かいます。しかし、最近、他の病気で抗コリン剤などのくすりを処方されたり、市販の風邪薬の服用や飲酒によって、急に尿が出なくなる尿閉を起こすケ-スが増加しています。排尿状態に不安を感じている方は、大事に至らないうちに専門的検査による診断のもと、適切な治療を受けましょう。また、くすりの効果が得られない場合は、最終的に手術が必要となります。一般には、経尿道的前立腺切除術(TUR-P)という手術が行われます。他に、出血の少ない経尿道的前立腺レーザー核出術(HoLEP)、心血管等の合併症が多い方にも優しい光選択的前立腺レーザー蒸散術(PVP)などがあります。当院では患者さんの病態に応じて、最適の治療ができる病院に紹介させていただきます。
前立腺肥大症、神経因性膀胱、その他排尿障害に対する治療
― 膀胱留置カテーテル管理、自己導尿 ―
前立腺疾患(前立腺肥大症、前立腺がん)や膀胱頚部硬化症、神経因性膀胱(脳出血、脳梗塞、パーキンソン病、脊髄損傷、糖尿病などが原因による排尿に関する神経の障害)が理由で、自分で排尿できなくなれば、多くの場合、膀胱留置カテーテルで尿管理が行われることになります。長期におよぶ留置カテーテルの管理においては、①尿路感染、②尿漏れ、③カテーテルの抜去困難、④カテーテルの挿入困難、⑤カテーテル周囲の膀胱結石の形成、⑥下腹部痛を伴う膀胱痙攣など、さまざまな合併症が出現してきます。放置しておくと衛生環境、生活環境を悪化させ、何よりも患者さんの生命に係わることもあります。これらの対応において、特に在宅医療での患者ご本人、介護者の方々には大きな負担となり限界があります。当クリニックでは泌尿器科専門医として、適切な予防法を指導し、(緊急)処置を行います。
また、前立腺肥大症、前立腺がん、神経因性膀胱の患者さんや、寝たきり介護のために膀胱カテーテルを留置されている方々の中には、カテーテルフリー、つまり膀胱留置カテーテルなしの状況を切に望まれる方々も少なくありません。施設などを希望されても留置カテーテルのために入所困難となることもあります。そのような場合、間欠的自己導尿という方法があります。
間欠的自己導尿とは、患者さんご本人が尿道口から自己導尿用のカテーテルを膀胱内に挿入して、通常1日に4-6回人為的に排尿させる方法です。主に神経因性膀胱の患者さんが適応になります。また、尿閉(尿がつまって出ない)を繰り返し、そのたびに救急病院で導尿処置を受けて困っているような方も対象となります。男性、女性ともに可能な操作で、外出先でも行えるため生活の質が格段に上がります。はじめは挿入時の多少の痛みや手間のため自分で操作することに抵抗を感じる方もおられますが、慣れれば簡単で、何よりも昼夜問わずいつでも排尿操作が自分で出来るため安心です。当クリニックでは自己導尿を希望される方に、自己導尿カテーテルおよび消毒液をお渡しし、丁寧にご指導させていただきます。ぜひご相談ください。
血尿
血尿には、目で見て赤いおしっことわかる肉眼的血尿と、健診や病院の検査で尿潜血と指摘される顕微鏡的血尿があります。特に肉眼的血尿は、膀胱がんや腎がん、前立腺がんなどの悪性疾患をはじめ重大な病気の可能性があり、発見のきっかけとなります。早めに詳しい検査を受けることをお勧めします。
一方、顕微鏡的血尿については、60歳以上の男性で10%以上、女性で20%以上の方に見られ、また、何年にも及んで指摘を受けている方も少なくありません。たいていの場合、心配する必要はありませんが、中には悪性疾患をはじめ、尿路結石、炎症など治療を必要とする病気が見つかることもありますので、一度は専門医をお訪ねください。
泌尿器科悪性疾患
泌尿器科悪性疾患には、前立腺がん以外に、腎臓がん、膀胱がん、精巣がんなどがあります。当院では、気になる症状、所見があれば迅速に超音波検査や尿細胞診、腫瘍マーカーの血液検査などを行い早期診断に努めています。また、偶然に発見され早期治療につながっているケースもあります。もし、悪性疾患と診断された場合は、病期(病気の進行度)や患者さんの全身状態に合わせて、当院から最善の治療ができる病院を紹介させていただきます。患者さんが希望される病院があれば、もちろんそちらにも紹介可能です。セカンドオピニオンを含め、ご心配の方は、ぜひ早めにご相談ください。
前立腺がん
前立腺がんは日本での患者数が増加しており、現在、男性のがん罹患数は4位、死亡率は6位になっています。PSA(前立腺がんマーカー)の血液検査で早期発見することが可能で、人間ドッグやかかりつけ医でPSA値の異常を指摘された場合は、直ちに専門医に相談しましょう。
診断には前立腺のMRI検査や、前立腺の組織を採取し顕微鏡でがん細胞が混じっていないかを確かめる検査(前立腺針生検術)が必要になります。前立腺針生検術によって、PSA値が4.0~10.0ng/mlで20~30%、10ng/ml以上で50%以上の方にがん細胞が検出されます。
前立腺針生検術で前立腺がんと確定診断されれば、CT検査などで転移の有無を確認し、病気の進行度に応じて治療方針を決定します。
前立腺癌の治療には、①ホルモン療法、②手術療法、③放射線療法、④化学療法、⑤待機療法(経過観察)があります。
ホルモン療法
前立腺癌は男性ホルモンであるアンドロゲンの影響を受けます。このアンドロゲンの分泌や働きを、注射や飲み薬で抑えるのがホルモン療法です。転移のある進行癌の方を含めて、ほとんどの患者さんに効果を発揮します。強い副作用がないため、高齢者や全身状態の優れない方にも安全に使え、当院でも多くの患者さんが治療を受けています。
手術療法
手術は、前立腺と精のうを摘出し、その後、膀胱と尿道をつなぐ前立腺全摘除術を行います。最近の手術療法は、ロボット支援前立腺全摘除術が中心です。これは下腹部に小さな穴を数カ所開けて、精密なカメラと細長い器械を持つダ・ヴィンチという手術用ロボットを遠隔操作して行う方法です。当院では、患者さんが希望する、ロボット手術を行っている病院に紹介しています。他に、腹腔鏡下前立腺全摘除術や開腹による前立腺全摘除術も行われており、患者さんの病態に応じて最適の病院に紹介しています。
放射線療法
放射線治療は、高エネルギーの放射線を照射する療法で、手術と同等の治療効果が得られます。身体への負担が少ないため、高齢者や合併症のある方にも行えます。放射線治療には外部照射と組織内照射という方法があります。外部照射としてはIMRT(強度変調放射線治療)が行われ、一般的に、1日1回、週5回で7~8週間前後を要します。内部照射としては密封小線源永久挿入療法が行われ、前立腺に小さな線源のカプセルを埋め込みます。治療には1日の入院が必要です。また、最近では、重粒子線治療や陽子線治療といった、さらに優れた放射線療法が保険適応となり、大阪にも2施設あります。これらの放射線療法はそれぞれに特徴があり、優れた治療法で、当院では患者さんの病態や希望に応じて、専門病院に紹介しています。
化学療法
化学療法は、抗癌剤を注射や点滴または内服で治療します。ホルモン療法が効かなくなった去勢抵抗性前立腺癌に対して行います。
監視療法
監視療法とは、前立腺針生検術で見つかったがんがおとなしく、治療をしなくても余命に影響がないと判断される場合に経過観察をするもので、過剰な治療を防ぐことを目的としています。監視療法では、3~6カ月ごとにPSAの血液検査や超音波検査などを行い、病状悪化の兆しが見られた時点で、治療を開始します。 以上のように、治療法もさまざまで、わかやすく説明し、患者さんに合った最適な診療をお勧めしています。
慢性腎臓病(蛋白尿)
健診などで尿蛋白が陽性、特に(2+)以上の陽性を指摘された場合は、腎臓疾患に対する注意が必要です。病状によっては、将来、腎機能が悪くなり透析を必要とする末期腎不全になる可能性があります。蛋白尿は自覚症状がないために、専門医への受診を勧められても、そのまま過ごしてしまう方が多いのが現状です。しかし、尿蛋白や血液検査で腎機能低下が続いていれば、それは慢性腎臓病という病気で、腎機能の予後や合併症の可能性を考えて詳しい検査をする必要があります。
糖尿病、高血圧、高コレステロール血症、親族に腎臓病の人がいる、などに該当する方は、特に慢性腎臓病の注意が必要です。
これらの合併症があれば早期に治療を開始し、また、尿蛋白そのものに対するくすり治療を適切に行えば、透析に至る末期腎不全になる確率も少なくなります。さらに最近、慢性腎臓病の方は、腎機能が悪化して透析治療に至らなくても、心血管疾患(心筋梗塞や脳卒中)などの重大な合併症を起こすこともわかってきています。
つまり、慢性腎臓病を早く診断して治療することは、心血管疾患の危険性を防ぐことにもつながります。尿蛋白や腎機能障害を指摘された方は、ぜひご相談ください。
尿路感染症
女性の場合、尿道が短い、膣に細菌が着きやすいなどの要因で、腸に常在する大腸菌などの細菌が尿道から膀胱に入りやすいため、膀胱炎が起こりやすくなります。さらに細菌が尿管をさかのぼって腎臓に及ぶと腎盂腎炎が起こります。
膀胱炎は排尿後痛、下腹部の不快感、頻尿、残尿感などの症状が出現し、ひどい時は血尿が出ることもあります。軽度な場合は、市販されている漢方薬で改善される場合もありますが、基本的には原因菌に合わせた適切な抗生剤の内服治療が必要です。
膀胱炎症状に加えて、高熱、腎周囲の腰背部痛、全身倦怠感、食思不振などの症状があると腎盂腎炎を起こしています。抗生剤の内服治療に加えて、症状が改善するまで点滴治療が必要で、重症例では入院が必要なこともあり、早めの受診をお勧めします。
男性の場合も、腸に常在する大腸菌などの細菌が尿道に侵入し、その後、前立腺で強い炎症を起こすことがあります。高熱、全身倦怠感などの全身症状に加えて、排尿時痛、排尿困難、頻尿、下腹部痛、会陰部痛(陰嚢と肛門の間の痛み)などの症状があれば急性前立腺炎です。抗生剤の内服治療に加えて、症状が改善するまで点滴治療が必要で、重症例では入院が必要なこともあり、早めの受診をお勧めします。なお、男性が腎盂腎炎になることはまれです。
性感染症
性感染症とは、性行為によって感染する病気のことです。現在、もっとも多くみられるのは、クラミジア・トラコマティスと淋菌による尿道炎で、これらはオーラルセックスでも、同じように感染します。クラミジア尿道炎は、性交渉のあと約1週間で軽い排尿時の痛みや白色透明な液が尿道口から出てくるなどの症状があります。淋菌尿道炎は、性交渉のあと3日目くらいに強い排尿時の痛み、黄色膿状の液が尿道口から出てくるなどの症状があります。最近では、クラミジアと淋菌の両方一緒に感染していることも珍しくありません。適切に抗生剤を内服すれば治癒しますが、淋菌尿道炎の場合、内服薬に抵抗する耐性菌が40%以上にみられ、抗生剤の点滴治療が必要になることもあります。
また最近、梅毒が急増しています。梅毒とは、梅毒トレポネーマによる感染症で、皮膚や粘膜の小さな傷から梅毒トレポネーマが侵入することで感染します。性交渉による感染後3週間で、陰茎、亀頭部に小豆から人さし指の大きさの硬いしこりである初期硬結ができます。この初期硬結はしだいに中心部分が潰瘍になり、硬性下疳という状態になります。直ちに血液検査(血清梅毒反応)を行い、1か月間、ペニシリンの内服治療を行います。
感染から3か月ほど経過すると、顔や手足をはじめ全身に「バラ疹」とよばれる薄い発赤がみられるようになります。また、いつ感染したのか不明な症例も多く、感染後長期間経過していると思われる場合は、治療も長期間かかります。
さらに、梅毒に感染している場合、HIV/エイズにも感染している可能性が高いと言われており、同時に検査をすることをお勧めします。
その他、性器ヘルペスや尖圭コンジローマ、カンジダなど、色々な性感染症もあり、心配の場合は早めの受診をお勧めします。
尿路結石症
尿路結石は、まず腎臓で出来ます。これを腎結石といいます。腎結石は特に症状はありません。しかし、結石がいったん膀胱に向かって動き出すと、尿の通り道である尿管につまります。これを尿管結石といいます。こうなると、わき腹、下腹部、腰の激しい痛みが出現し、吐き気、冷や汗、血尿、頻尿といった症状を伴ってきます。発熱がある場合は、腎盂腎炎を併発している可能性が高く、生命にかかわることもあり早期での治療が必要です。その後、結石が膀胱内に降りれば、通常そのまま排尿とともに排石されますが、前立腺肥大症などがあれば、膀胱内に結石が留まり大きく成長することもあります。
尿管結石は、小さいものであれば自然排石が期待されますので、鎮痛薬などのくすりを使いながら、水分摂取、なわとびや階段を降りるなど振動を与える運動で対応します。結石が10㎜以上の大きさがあれば、自然排石が期待できないため手術が必要です。結石を破砕する体外衝撃波砕石術(ESWL)、尿道から尿管の中に内視鏡(尿管鏡)を挿入して結石を砕いたり取り出したりする経尿道的尿管砕石術(TUL)、背中の皮膚から腎臓の中に内視鏡を入れて結石を砕いたり取り出したりする経皮的腎砕石術(PNL)といった手術を行います。
尿路結石は2人に1人は5年以内に再発するともいわれ、食事指導などの再発予防対策が必要です。適切な診断、治療方針が肝心ですので、手術治療の紹介を含めて、ぜひご相談ください。
女性泌尿器疾患
過活動膀胱
「急に我慢できないような尿意が起こる」「トイレが近い」「急にトイレに行きたくなり、我慢ができず尿が漏れてしまうことがある」などの症状を示す病気です。膀胱の畜尿障害によるもので、膀胱が過敏なため少し尿が溜まっただけで強い尿意が起こります。
過活動膀胱は日本では1,000万人以上の男女が罹患する頻度の多い病気です。早ければ30歳代から罹患し、加齢とともに増加します。原因は不明のことも少なくありませんが、加齢による老化現象として起こると考えられています。また、脳卒中、パーキンソン病、認知症や脊柱管狭窄症などの脳や脊髄の病気、前立腺肥大症、前立腺炎、膀胱がん、膀胱炎といった病気が原因になることもあります。
治療は、多くは抗コリン薬やβ3受容体作動薬といったくすりや、膀胱訓練、生活指導で改善されます。中には、くすりが効かない難治性の過活動膀胱があり、この場合、電気刺激療法(干渉低周波療法)という治療法があり当院でも行っています。さらに、最近では、臀部の皮下に心臓のペースメーカーのような電気刺激装置を埋め込む仙骨刺激治療というのが保険適用となり、治療可能な病院へ紹介しています。ぜひご相談ください。
腹圧性尿失禁
咳やくしゃみをした時、重い荷物を持ち上げた時、また、走ったり、ジャンプをした時など、お腹に力が入った時に尿が漏れてしまうのが腹圧性尿失禁です。これは骨盤底筋群という尿道括約筋を含む骨盤底の筋肉が緩むために起こるもので、出産を契機に出現することが多く、肥満、加齢も原因となります。この骨盤底筋を訓練する体操が標準的治療となっています。
さらに、強い膀胱下垂、膀胱が膣から出てくる経膣膀胱脱となると、尿失禁が増悪するとともに、逆に排尿困難になってしまうこともあります。この場合は、メッシュを使った骨盤底形成術(TVMメッシュ手術)を行う必要があり、手術が出来る専門病院へ紹介いたします。ぜひご相談ください。
夜間頻尿
夜間、排尿のためにトイレに起きなければならない症状を夜間頻尿といいます。これは、排尿に関するトラブルの中で最も頻度が多く、加齢とともに高くなります。夜間頻尿が1回までなら支障は少ないと思いますが、2回以上になると睡眠が障害されたり、何度もトイレに行く中で転倒、骨折の危険性も高くなり、生活の質の低下につながります。
しかし、夜間頻尿といってもいくつかの原因が複合的に関与していることが多く、精査のうえ適切に治療を受ける必要があります。 まず、最も多い原因が夜間多尿です。排尿日誌をつけて、1日24時間の尿量のうち就寝中の尿量が 33%以上あれば、夜間多尿と診断されます。眠前に水分や塩分の摂取が多いと夜間多尿になります。最近、脳梗塞や心筋梗塞の治療中の方で、脳外科や内科の先生に血をサラサラにするために水分をたくさん摂るように指導されていることが少なくありません。もちろん、水分摂取は悪いことではありませんが、夜間頻尿になるほど水分を摂りすぎると、かえって睡眠不足となり病気にとっても良くありませんので気を付ける必要があります。また、腎機能障害、高血圧症や糖尿病の方も、一日尿量バランスが崩れて夜間多尿になることが多く、改めて生活指導や薬物治療でのコントロールが必要です。
次に膀胱容量の低下、つまり過活動膀胱という病気が原因となります。急に強い尿意が現れ、尿漏れを伴うことがあります。これは薬物治療で改善することが期待されます。
最後に睡眠障害です。健常者であっても加齢とともにぐっすり眠れる時間が短くなったり、浅い睡眠で直ぐに目が覚めるようになります。快眠のための生活習慣の見直しや適切な睡眠剤の使い方が大切です。
夜尿症
夜尿症とは5歳を過ぎても睡眠中に無意識に排尿する状態のことです。夜尿症の状態は5歳で20~25%、6歳で15~20%、10歳で5%、15歳で約1%といわれています。
夜尿症には基礎疾患が明らかでない機能的夜尿症と、何らかの病気が原因で起こる器質的夜尿症があります。また、乳児期より夜尿症が続いている一次性(生来型)夜尿症と、6ヶ月以上夜尿がなくて再び始まった二次性(獲得型)夜尿症があります。夜尿症のタイプとしては機能的、一次性夜尿症が80%以上と圧倒的に多いとされています。
夜尿症に関連する要因には次のようなものが考えられています。
①小児では5歳頃までに排尿をコントロ-ルする中枢神経系がほぼ成熟しますが、この遅れがあると夜尿症の要因となります。
②小児の膀胱は、勝手に収縮する無抑制収縮という現象をおこす状態にあり、この時期の膀胱は機能的に未熟なため「不安定膀胱」とも呼ばれています。これが成長とともに膀胱機能も発達し尿意を感じても我慢することができる「安定膀胱」になりますが、この成熟の遅れがあると夜尿症の要因となります。
③睡眠が深すぎる、あるいは覚醒する機構が未発達というような睡眠機構の未熟や異常が夜尿症の要因となります。
④いじめ、親子関係の不良、入園、転居、兄弟の誕生などのストレスがきっかけで夜尿症が起こることがあります。
⑤基礎疾患として尿路感染症、脳の病気が原因で尿量が異常に多くなる(1日2リットル以上)尿崩症、二分脊椎などが原因の神経因性膀胱、膀胱尿管逆流現象、完全重複尿管、尿道弁、尿道狭窄などが夜尿症の要因となります。これらの病気が疑われたら画像診断などの詳しい検査が必要となります。
夜尿症の治療には生活指導と薬物療法があります。
まず生活指導の三原則は「あせらず」「しからず」「起こさず」です。夜尿症のほとんどは成人になるまでに自然に治ります。
生活指導として次のことに注意してください。
①規則正しい生活をさせます。特に水分と塩分の摂取には注意しましょう。塩分を多く摂るとのどが渇くので、どうしても水分を多く摂ってしまいます。水分は午前中に多く摂るようにし、夕食は早めにして水分と塩分を控えめにしましょう。夕食後の水分も制限し、寝る前には必ず排尿をさせましょう。
②夜間に無理に起こして排尿させないようにしましょう。きちんと目覚めていなければ夜尿しているのと同じで、逆に夜間に起こすことは睡眠のリズムが乱れびっしょり型の夜尿症へと悪化させる恐れがあります。
③夜尿症の子供には、日中もいったん尿意を感じると我慢できなかったり、少量の尿をちびったり、まれに大量にもらすこともあります。これは膀胱機能未熟型の夜尿症で、膀胱訓練をさせましょう。昼間に今までより少しずつ長い時間、漏れそうになるまで排尿を我慢させ、1日1回その排尿量を記録させます。7~8歳以上で200ml以上が目安です。この記録の向上が治療を続けることの励みになります。また、排尿の途中に1~2回中断させて尿道括約筋の機能を高めるようにしましょう。
④原因と考えられるストレスがあれば排除するように努めてあげましょう。
⑤夜尿症は必ず治るのだと確信して、おねしょをした時に叱って子供に屈辱感、不安感、罪悪感を与えないようにしましょう。逆に、おねしょをしなかった時にはほめてやりましょう。
薬物療法としては、夜間尿量を減少させる効果のある抗利尿ホルモン剤を就眠直前に使用します。口腔内崩壊錠で服用しやすいものです。ただし、就眠前2時間以内の厳重な水分制限が必要となります。また、抗利尿ホルモン剤で改善を認めない場合は膀胱の緊張を緩和して膀胱容量を増加させる作用のある抗コリン薬を併用することがあります。
また、行動療法としてアラーム療法というのがあります。これは、下着にセンサーを付けて、ブザーでおねしょをしたとたん、睡眠から目覚めさせるという条件づけ療法です。薬物療法と並んで有効で、このアラーム装置はレンタルが可能です。
お子さんで夜尿症のお悩みのある方は、ぜひご相談ください。
小児泌尿器
停留精巣
精巣はおなかの中で形成され、生まれる頃に陰のう内に到達します。ところが、その途中で何らかの原因で下降が止まって、陰のう内に精巣がない状態を停留精巣といいます。1歳児の約0.8%にみられます。
生後6ヶ月くらいまでは、精巣は自然に下降する可能性がありますが、1歳を過ぎるとその可能性は極めて低くなります。停留精巣をそのままにしておくと、将来、男性不妊症、精巣腫瘍、精索捻転症、外傷、ソケイヘルニアといった合併症の出現の危険性があります。1歳までには精巣を陰のう内に降ろす手術、精巣固定術をする必要があります。お子様でのお悩みのある方は、ぜひご相談ください。
包茎
包茎とはおちんちんの皮(包皮)をむいても亀頭を完全に露出できない状態をいいます。菌が着くと、包皮の先端が赤く腫れ、膿が出たりする亀頭包皮炎をおこしやすくなります。
また、包皮が狭くて、おしっこの出口(外尿道口)が完全に見えず、おしっこをする時に包皮が膨れて風船状になる(バルーニング)場合は、手術が必要になることがあります。外尿道口が確認出来る場合は、包皮翻転指導をします。包皮の狭い部分に軟膏(リンデロンVG軟膏など)を塗布して徐々に包皮を剥いていくと、7割以上で治癒します。
一方、包皮を剥いたまま戻さなかった時に、包皮が強く腫れて痛みが出ることがあります。これを嵌頓包茎といい、早期に用手的に整復する必要があります。お子様でお悩みのある方は、ぜひご相談ください。
男性不妊症
不妊症とは避妊しない性行為によって少なくとも12ヶ月経過しても妊娠にいたらない場合のことをいいます。子供さんを希望するカップルの15%が不妊で、そのうち約50%は男性側に原因があります。
検査としては、まずは身体検査で、精巣容積(大きさ)を測定するために超音波検査を行います。また、精索静脈瘤という病気の有無判定をします。精索静脈瘤とは、精巣の上にある静脈の血流が逆流し、精巣の上部から周囲にかけて静脈の瘤ができる病気です。ほとんどは左側におこり、陰のうの左側に血管が浮いたミミズ腫れのようなものが見られます。一般男性の15%に認められ、男性不妊の35%は精索静脈瘤が原因です。
次に、精液検査です。2-7日の禁欲期間(射精しない期間)の後に、自宅で用手法で採取して、直ちに当院に持参、提出してもらい検査に回します。目安として総精子数が3900万個上あれば、自然妊娠が可能です。2000万個以下であれば「乏精子症」、全くいない場合は「無精子症」といい、人工授精、体外受精を考える必要があります。
最後に、血液検査です。FSH(卵胞刺激ホルモン)、LH(黄体刺激ホルモン)、テストステロン(男性ホルモン)を調べ、精巣で精子を作る機能が低下していないかを確認し、適応があればホルモン治療を行います。
男性不妊症が心配で、検査を考えている方はご相談ください。
男性更年期
男性更年期の主症状は精神・心理症状(抑うつ、いらいら、神経過敏、不安、疲労倦怠感、生気消失)、身体症状(発汗、ほてり、睡眠障害、持続力低下、体力低下、筋肉痛、骨密度低下、自律神経失調症)、性機能関連症状(性欲低下、勃起力低下)です。加齢男性性腺機能低下症候群(LOH症候群)とも呼ばれ、加齢、男性ホルモン(テストステロン)の分泌障害、社会的環境の変化などが原因となります。男性更年期に対する問診票チェック、身体検査、採血による男性ホルモン値測定などを行い診断します。
治療は、患者様それぞれの症状、所見に応じて、①男性ホルモン補充療法、②抗うつ薬・抗不安薬治療、③漢方治療、④勃起改善薬(バイアグラ、シアリス)によED治療を行います。精神・神経症状の強い方は、神経科との連携による治療が必要となりますが、当クリニックでは泌尿器科の立場から、男性ホルモン補充療法、漢方治療、ED治療を中心に対応させていただきます。
ED治療は自費診療になります。費用は管理料金(初診 4,090円、再診 1,940円)とED治療薬の料金がかかります。
バイアグラ錠50mg | 1錠 | 1,600円 |
シルデナフィル錠50mg | 1錠 | 1,100円 |
シアリス錠20mg | 1錠 | 1,800円 |
内科
慢性腎臓病の方は、高血圧症、高コレステロール血症、糖尿病といった生活習慣病を合併していることが多く、また逆に、生活習慣病の影響で腎機能自体が増悪していることもまれではありません。特に当院では、生活習慣病のコントロールがなかなかうまくいかない重症の患者さんに対応しています。さらに、骨粗鬆症や風邪、インフルエンザなどさまざまな病気の治療薬の中には、腎機能障害のためにその使用を制限しなければならないものが多くあり注意が必要です。現在の病状や服用している内服薬の使用にご不安のある方は、ぜひ当院にご相談ください。
足のむくみ
足のむくみが気になり(特に高齢者)、腎臓病を疑っている方も多くおられると思います。心臓や甲状腺の病気が関連していることもありますが、これらの病気が足のむくみの原因になることは少ないと言われています。むしろ、一日中立っていたり、活動が限られていても車いすなどで一日中座って足を下にしていたり、また夏場に一日中冷房の中で、塩分と水分をたくさん摂っているなど、日常生活に問題があることがほとんどです。また、足の部分的な病気であるリンパ浮腫や静脈瘤、静脈血栓後遺症の静脈還流障害など、足の血流障害が原因となります。こういった場合、治療、予防としては医療用弾性ストッキングが使用されています。当院では、ハイソックスタイプ、ストッキングタイプ、また個人個人の足のサイズにあった弾性ストッキングのご用意が可能です。
下肢静脈瘤は、悪化している場合は手術が必要ですので、手術が出来る専門病院へ紹介いたします。
さらに、高血圧のくすりであるカルシウム拮抗薬や痛み止めのくすりが足のむくみの原因になることがありますのでご注意ください。
特定健診・ワクチン
当院は大阪市・特定健診の委託医療機関となっています。健診を希望される方はお問い合わせください。受診に際しては、大阪市から送付されました特定健診受診券が必要ですのでご確認ください。
また、インフルエンザや肺炎球菌など、各種のワクチン接種を行っています。予約が必要ですので、公費負担で接種が出来るかを含めてお問い合わせください。
インフルエンザワクチン | 一般の方 | 3,400円 |
大阪市在住の65歳以上の方 | 1,500円 | |
肺炎球菌ワクチン | 一般の方 | 7,700円 |
今年度65歳、70歳、75歳、80歳、85歳、90歳、 95歳、100歳となる方、及び101歳以上の方 |
4,400円 |